橋の付属物とは?高欄・防護柵・排水施設の役割を解説

付属物 橋梁の基礎

はじめに

これまで、橋の主役である桁や、それを支える支承などを見てきました。ですが、橋は主役だけで成り立っているわけではありません。人や車の安全を守ったり、橋を長持ちさせたりするために、たくさんの「付属物」が備えられています。

今回は、高欄(こうらん)・車両用防護柵・排水施設を中心に、ふだんはあまり意識されない橋の「脇役」たちの役割を見ていきます。地味に見えて、実は橋の安全と寿命を大きく左右する存在です。

高欄(人を守る柵)

高欄(こうらん/欄干(らんかん)とも呼ばれます)は、橋の歩道の脇に設けられる柵や壁状の安全施設です。いちばんの目的は、人が橋から落ちるのを防ぐことです。

そのため、高欄の高さは路面から110cmが標準とされ、その頂部に1メートルあたり250kgの水平方向の力(横から押される力)が作用しても耐えられるように設計されます。手すりにもたれたり、人がぶつかったりしても安全なように、しっかりとした強さが求められるのです。

一方で、高欄にはデザインの自由度もあります。観光地や歴史のある場所の橋では、地域の文化や歴史を映したデザインの高欄が、橋の景色に彩りを添えています。たとえば、隅田川にかかる蔵前橋(くらまえばし)の欄干には、力士のレリーフが施されています。かつてこの地に蔵前国技館があり、相撲のメッカだったことを今に伝えるデザインです。橋の景観については、景観設計の記事でも触れています。

【景観設計の考え方|橋の美しさは周辺との調和から生まれる】
https://hashiwatashi.com/bridge-landscape-design/

車両用防護柵(車を守る柵)

人を守る高欄に対して、車を守るのが車両用防護柵(ぼうごさく)です。いわゆるガードレールがこれにあたります。路肩(ろかた)をはみ出した自動車が橋の外へ転落するのを防ぐために設けられます。

車両用防護柵には、次のような性能が求められます。

  • 車両の逸脱(いつだつ)防止性能:車が橋の外へ飛び出さないようにする
  • 乗員の安全性能:ぶつかったときに乗っている人を守る
  • 車両の誘導性能:ぶつかった車を進行方向へ滑らかに戻す
  • 構成部品の飛散防止性能:壊れた部品が飛び散らないようにする

構造としては、金属製で、ぶつかったときに変形して衝撃を吸収するたわみ性防護柵と、鉄筋コンクリート製でほとんど変形しない剛性(ごうせい)防護柵に大きく分けられます。同じ「柵」でも、人を守る高欄と車を守る防護柵とでは、求められる役割が違うのです。

排水施設(橋を長持ちさせる水の通り道)

橋にとって、雨水をすばやく排き出すことは、見た目以上に大切です。水が橋の上にたまったり、すき間に入り込んだりすると、鋼材の腐食やコンクリートの劣化が進みやすくなるためです。そこで、橋にはいくつもの排水の工夫が組み込まれています。

まず、路面にはわずかな勾配がつけられています。橋を横切る方向の傾き(横断勾配(おうだんこうばい))は、1.5〜2.0%程度が目安です。この傾きによって、雨水が路面の端へと自然に流れていきます。

流れてきた水は、路面に一定間隔で埋め込まれた排水ますで集められ、桁下の排水管を通して排き出されます。とくに、伸縮装置の近くにも排水ますを設けて、装置へ水が流れ込むのを減らす工夫がされます。継ぎ目に水が集まると、傷みの原因になるためです。

さらに、箱桁やトラスのように、内部が閉じていて水のたまりやすい閉断面(へいだんめん)の部材には、水抜き孔(みずぬきあな)を設けて、たまった水が抜けるようにします。「水を入れない、入った水はすぐ抜く」——この考え方が、橋を長持ちさせる基本になっています。

そのほかの付属物(照明・点検施設など)

このほかにも、橋にはさまざまな付属物があります。

照明施設は、夜間に橋を安全に通行できるようにするための設備です。点検施設は、橋を点検しやすくするための通路や足場などで、完成後の維持管理を支えます。造るときから「あとで点検しやすいように」と備えておくことも、長く使う橋には欠かせない配慮です。

維持管理から見た橋の付属物

付属物は橋の脇役ですが、補修・維持管理の現場では、決して脇に置けない存在です。

とくに気をつけたいのが、排水まわりです。排水ますや水抜き孔は、落ち葉やゴミ、土砂で詰まりやすく、詰まったまま放っておくと、抜けるはずの水が橋の上や部材の中に滞ってしまいます。すると、桁端や支承、鋼材の腐食、コンクリートの劣化が静かに進んでいきます。小さな詰まりが、橋全体の寿命を縮めかねないのです。

高欄や防護柵も、点検で見落とせない部位です。これらは人や車の安全に直結するため、腐食やゆるみ、事故による損傷がないかを確認し、いざというときに本来の強さを発揮できる状態に保っておく必要があります。

橋は、桁や支承といった主役だけでなく、こうした付属物まで含めて一つの橋です。目立たない脇役にまで目を配れるかどうかが、橋を安全に、長く使い続けるための分かれ目になります。

まとめ

この記事では、橋の付属物について見てきました。ポイントを整理します。

  • 橋には、安全や耐久性を支えるさまざまな付属物が備えられている
  • 高欄は人の転落を防ぐ柵で、高さ110cmが標準。地域文化を映したデザインのものもある
  • 車両用防護柵(ガードレール)は車の転落を防ぎ、たわみ性と剛性のタイプがある
  • 排水施設は、路面の勾配・排水ます・水抜き孔などで水を速やかに排き、橋を長持ちさせる
  • 付属物は脇役ながら、排水の詰まりや柵の損傷など、維持管理で見落とせない部位

次に橋を渡るときは、足元や脇にある高欄・柵・排水ますにも、少し目を向けてみてください。橋を支えているのは、主役だけではないことに気づけるはずです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました