支承とは?橋を支える「関節」の役割と種類

支承 橋梁の基礎

はじめに

橋を構成する部分の中で、ふだんはほとんど意識されないけれど、とても大切な役割を果たしているのが支承(ししょう)です。

以前、橋の構造を紹介したとき、上部構造と下部構造の間にあって橋の「関節」のような働きをする部品として、この支承に少し触れました。今回は、その支承だけを取り上げて、役割や種類を詳しく見ていきます。

【橋梁とは何か?定義・役割・種類を解説】
https://hashiwatashi.com/what-is-bridge/

支承とは

支承は、橋の上部構造と下部構造を接続する部位です。人や車が通る上部構造と、それを支える下部構造(橋台・橋脚)との境目に置かれ、両者をつなぐ重要な役割を担っています。

支承には、大きく2つの機能があります。

1つは、力を伝える機能です。上部構造にかかる力を下部構造へと伝えます。このとき伝える力には、上から下へかかる鉛直(えんちょく)方向の力と、横向きにかかる水平方向の力があります。

もう1つは、上部構造の動きに追従する機能です。橋は、じっと止まっているように見えて、実は少しずつ動いています。その動きには、水平方向の変位(位置のずれ)と回転があり、支承はこれらに無理なく追従できるように造られています。

橋の「関節」と呼ばれるのは、まさにこの「力を受け渡しながら、動きを逃がす」という働きがあるからです。

支承の4つの役割

支承の役割を、もう少し具体的に整理してみます。橋の上部構造は、気温の変化や自重、長い年月のあいだの経年変化によって、伸びたり縮んだり、曲がったりします。さらに、地震や台風といった災害にも対応しなければなりません。こうした条件に応えるため、支承にはおおむね次の4つの役割があります。

  1. 上部構造の自重や、その上にかかる荷重を、安全に下部構造へ伝える
  2. 温度変化による橋の伸び縮みに対応する
  3. 橋の曲げやねじりによる動きに対応する
  4. 地震や台風に対して、橋を安全に守る

小さな部品ながら、橋の安全と快適さを足元から支えているのが支承です。

支承の種類

支承は、橋の形式や大きさ、地震に対する設計の考え方などに応じて、さまざまな種類が使い分けられています。ここでは、いくつかの分け方で整理してみます。

材料による分類

支承は、使われている材料によって、大きく2つに分けられます。鉄鋼材料でできた鋼製支承(こうせいししょう)と、ゴム材料でできたゴム支承です。鋼製支承は金属の部品で力を受け渡し、ゴム支承はゴムの変形を利用して力を伝えたり動きを吸収したりします。

水平力の支え方による分類

支承を、水平方向の力をどう扱うかで分けると、固定支承と可動支承になります。

固定支承は、水平方向の移動を許さず、地震力などの水平力をしっかり支える支承です。一方の可動支承は、水平力は支えませんが、上部構造の伸び縮みに合わせて滑らかに動けるようになっています。

1つの橋では、固定支承と可動支承を組み合わせて配置するのが一般的です。一方でしっかり固定して位置を定め、ほかは伸縮を逃がす——そんな役割分担によって、橋全体が温度変化などに無理なく対応できるようになっています。

代表的な支承の例

具体的な支承には、たとえば次のようなものがあります。

  • ピン支承:ピンを軸にして回転を許す、固定支承の代表的な形式
  • ローラー支承:ローラー(円柱)が転がることで水平移動を許す、可動支承の代表的な形式
  • ゴム支承:ゴムの変形によって、回転や水平移動に対応する支承。道路橋でも鉄道橋でも広く使われている

地震に備える支承

地震への備えという観点からも、支承には工夫があります。

1つは、地震時水平力分散ゴム支承です。ゴムのせん断剛性(せんだんごうせい/ゴムが横にずれようとする力に対する硬さ)を利用して、地震の力を特定の支点だけに集中させず、多くの支点へ分散させることをねらった支承です。

もう1つは、免震支承(めんしんししょう)です。揺れのエネルギーを吸収する減衰機能を持たせることで、地震の揺れが橋に伝わりにくくする支承です。建物の免震と同じ発想を、橋に取り入れたものといえます。

地震に対する考え方については、耐震設計の記事でも整理しています。

【耐震設計の考え方|地震に強い橋を造るための3つの考え方】
https://hashiwatashi.com/bridge-seismic-design/

据付と維持管理から見た支承

支承は小さな部品ですが、補修・維持管理の現場では、とても重要な存在として扱われます。

まず、造るときの「据付(すえつけ)」の精度が問われます。完成後の橋に生じる不具合が、実は支承を据え付けるときのわずかなずれに端を発していた、ということがあるためです。橋の動きを正しく逃がすには、支承が設計どおりの位置と向きに据えられている必要があります。

そして、完成後も支承は気を抜けない部位です。支承は橋桁の下という、塵埃(じんあい/ちりやほこり)や雨水の影響を受けやすい場所にあります。水やゴミがたまると、金属部分の腐食やゴムの劣化が進みやすく、本来許すべき動きが妨げられてしまうことがあります。支承が動かなくなると、逃がすはずだった力が上部構造や下部構造に余計にかかり、別の不具合を招きかねません。

そのため、橋の点検では、支承部は念入りに確認される要所のひとつです。橋桁の下にもぐり込んで、腐食やひび割れ、ゴムの傷み、動きを妨げる土砂のたまりがないかを確かめます。小さくて目立たない部品だからこそ、「ここが効いているか」を見極める目が、橋を長持ちさせるうえで欠かせません。

まとめ

この記事では、橋を支える支承について見てきました。ポイントを整理します。

  • 支承は、上部構造と下部構造をつなぐ部位で、力を伝えつつ橋の動きに追従する「関節」のような存在
  • 自重や荷重を伝える、温度変化や曲げ・ねじりに対応する、地震や台風から橋を守る、といった役割がある
  • 材料では鋼製支承とゴム支承、水平力の支え方では固定支承と可動支承に分けられる
  • ピン支承・ローラー支承・ゴム支承などがあり、地震に備える水平力分散ゴム支承や免震支承もある
  • 塵埃や雨水の影響を受けやすく、据付の精度や日々の点検が、橋の寿命を左右する

次に橋の下を通る機会があれば、桁と橋脚のあいだに置かれた小さな支承に、少し目を向けてみてください。橋の動きを静かに引き受けている姿が、きっと見えてくるはずです。

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